不動産用語集

あ行

アスベスト

石綿(せきめん・いしわた)のこと。

繊維質であるため紡績することができる。また、耐久力があり、溶融点が1,300度程度と高く、熱絶縁性が大きく、耐薬品性も大きいなど、安価で優れた性質を持つため、さまざまな用途に使用されてきた。建築素材としても、断熱材、保温材、耐火材として大量に利用された。

しかし、石綿の繊維を肺に吸入すると、肺がんや中皮腫の原因となることがわかり、1975年には吹き付け使用が禁止され、以後、段階的に使用の規制が強化 されて2006年には全面的に輸入・製造・使用等が禁止された(代替品が確立していない特定の部材については例外的に確立までの間は禁止が猶予されてい る)。

建物の解体などの際には、使用されていた石綿が飛散するなどの恐れがあり、それに伴う健康被害を予防するため、作業方法などについて一定の基準が定められている。

アセットマネジメント

委託を受けて不動産などの資産の形成、運用、保全を行なうことをいう。

その際に重要なのは、投資目的に沿ってリスクとリターンをコントロールすることであり、資産価値を評価するほか、投資内容や投資先の分散、投資期間の設定などについて工夫することが要求される。
また、その業務は多岐にわたり、例えば不動産を組み込んだアセットマネジメントにおいては、投資不動産の選定や売買だけでなく、不動産の収益性を左右する賃料の設定、テナントの選定などの業務にも関与する。

受託の方法として、大きく信託による方法と受委託の契約による方法とがあるが、その業務は、前者は主として信託業法によって、後者は主として金融商品取引法や宅地建物取引業法などによって規制されている。

安心R住宅

安心に関する一定の要件を満たす旨の標章(マーク)を使用することのできる住宅。標章の付与は、国土交通省の告示(特定既存住宅情報提供事業者団体登録制度)に基づいて登録された事業者団体が行なう。

安心R住宅の標章を使用するために必要な要件は、1)新耐震基準(1981年6月1日以降の耐震基準)等に適合すること、2)インスペクション(建物状況調査等)を実施し、構造上の不具合および雨漏りが認められず、住宅購入者の求めに応じて既存住宅売買瑕疵保険を締結できる用意がなされていることである。そして事業者は、当該住宅の広告などに際して、安心R住宅の標章を表示できる。

安心R住宅の標章の付与に当たる事業者団体は、国土交通大臣の審査・登録を受け、リフォームの基準及び標章の使用について事業者が守るべきルールを設定し、団体の構成員である事業者を指導・監督することとなる。

なお、「安心R住宅」の「R」は、Reuse(リユース)・Reform(リフォーム)・Renovation(リノベーション)の意味である。

RC

「Reinforced Concrete」の頭文字を取ったもの。
「鉄筋コンクリート構造」という意味である。

鉄筋とコンクリートによって、柱・小梁・大梁・スラブ・壁を造り、すべての部分を一体化した構造のこと。
鉄筋コンクリートの部材は、引っ張る力にも、圧縮する力にも強いので、地震に対する安全性が高い構造となる。
また、すべての部材がコンクリートで一体化され、部材同士の接合部は剛であるので、建築学上の「ラーメン構造」となっている。

この鉄筋コンクリート構造のデメリットは、自重が大きいため、原則的には大空間建築や高層建築に向かないということである。

一般媒介契約

媒介契約の一つの類型。
一般媒介契約とは、次の1.および2.の特徴を持つ媒介契約のことである。

1.依頼者(すなわち売主等のこと)が「依頼した宅地建物取引業者」以外の「他の宅地建物取引業者」に重ねて媒介を依頼することが原則的に自由である。
2.依頼者自身が、自分の力で取引の相手を発見し、直接契約することが原則的に自由である。

なお、依頼者が、「依頼した宅地建物取引業者」以外の「他の宅地建物取引業者」に重ねて依頼する場合において、その「他の宅地建物取引業者」の名称と所在地を、「依頼した宅地建物取引業者」に通知するかどうかにより、一般媒介契約はさらに次の2つの類型に分かれる。

1)明示型の一般媒介契約
明示型の一般媒介契約とは、「他の宅地建物取引業者」の名称と所在地を、「依頼した宅地建物取引業者」に対して通知する義務があるとする媒介契約である。
2)非明示型の一般媒介契約
非明示型の一般媒介契約とは、「他の宅地建物取引業者」の名称と所在地を、「依頼した宅地建物取引業者」に対して通知しなくてよいとする媒介契約である。

居抜き

店舗や工場などを、その内部の商品、設備、什器備品などを設置したままの状態で売買・賃貸すること。

従って、居抜きで購入もしくは借りた場合は、以前のままの内装や設計設備等が付帯するので、比較的早期で営業にこぎつけることができる。

インテリジェントビル

高付加価値のオフィスビルのことで、高度情報化建築といわれることもある。

はっきりした定義があるわけではないが、空調、電気、セキュリティなどの設備を自動的に制御し、建物内に情報通信ネットワークを構築して、オフィスオートメーションやテレコミュニケーションに対応できることなどが特徴である。省エネ、省コストに資するともいわれる。

英語ではスマートビルと称することが多い(英語で、インテリジェントIntelligentは「賢い」、スマートSmartは「気の利いた」という意味である)。

浮床工法

歩行音やピアノ等の演奏に伴う音の振動が、床を伝わって伝搬しないようにするための工法。主構造体に防振材を据え付け、音を遮断・絶縁する。

売主

不動産の売買契約において、不動産を売る人(または法人)を「売主」という。

また不動産広告においては、取引態様の一つとして「売主」という用語が使用される。

この取引態様としての「売主」とは、取引される不動産の所有者(または不動産を転売する権限を有する者)のことである。

MB

電気・ガス・水道のメーター(計器)をまとめて収納したもの。

住戸の外部(玄関脇など)に設置されているのが一般的である。なお、上下水道管用のスペース(パイプスペース)の中にこのメーターボックスを納めているときは、「MBPS」と表示されることがある。

か行

確定申告

確定申告とは、所得を申告するために、税務署に備え付けられている「確定申告書」という書面に必要事項を記入して、住所地の税務署に提出することを指す。

一般の勤労者の場合は、毎月の給料と賞与から所得税が自動的に源泉徴収され、さらに年末調整によって所得税の納税が完了する。
従って通常は、一般の勤労者は所得税の納税について確定申告を自ら行なう必要はない。

しかし、住宅ローン控除を1年目に受ける場合、給与を2ヵ所以上から受けている場合、医療費控除を受ける場合などには、勤労者が自ら住所地の税務署に出向いて、確定申告を行なう必要がある。

確定申告書の記入は一般の個人には非常に難しい。そこで確定申告の時期には、各税務署の中で、地元の税理士会に所属する税理士たちが無償で個人の相談に乗り、確定申告書の記入を無償で代行してくれている。

確定申告は、毎年2月16日から3月15日までに行なうこととされている。ただし、所得税の還付を受ける場合には、2月16日以前でも確定申告を行なうことができる。

なお、不動産の貸付けによる所得(不動産所得という)がある個人は、必ず確定申告を行なう必要がある(詳しくは「青色申告」、「白色申告」へ)。

瑕疵保証

瑕疵が発見されたときにそれによって生じた損失を補填することを、あらかじめ約束すること。不動産に瑕疵があった場合には、売主が買主に対して瑕疵担保責任を負うのが原則であるが、それを補完するために、第三者が、瑕疵により発生した一定の損害を負担する仕組みがある。これが瑕疵保証である。

例えば、住宅の新築について工事請負人は引き渡しから10年間、住宅の構造耐力上主要な部分などについて瑕疵担保責任を負うが、住宅の性能を評価する制度を利用すれば、評価者がその瑕疵を保証する仕組みが用意されている。

壁心

建物の床面積を測定する際に、壁の厚みの中心線を想定し、この中心線に囲まれた面積を「床面積」とする考え方のこと。「壁芯」と書くこともある。

この「壁心」の考え方で計算すると、壁の厚みの分が床面積に加算されるので、実際に使用可能な部分の床面積よりもやや大きな床面積となる。

建築基準法では、建物の床面積とは「壁その他の区画の中心線で囲まれた部分の面積」であると規定しているので、建築基準法は壁心の考え方を採用しているということができる(建築基準法施行令2条1項3号)。

なお、この「壁心」と異なる床面積の測定方法として「内法(うちのり)」がある。

機械式駐車場

車を機械で移動して立体的に駐車する設備。

機械式駐車場の方式には、車を移動する方法に応じて、上下移動のみの方法(昇降式、地下を使うときにはピット式ともいう)、上下左右に移動する方法(昇降横行式、パズル式ともいわれる)などがある。

高密度に駐車できるほか、下段の駐車スペースは風雨にさらされにくいなどとされている。一方、車の出し入れに時間を要する、設備維持のための費用負担がかさむ、停電などの障害時には利用できないなどの指摘がある。

機械式駐車場に対して、地面のみに駐車する方式を「平置き駐車場」、機械を使わず立体的に駐車する方式を「自走式立体駐車場」という。

基準地価

都道府県地価調査により公報された「基準地」の価格のこと。

都道府県地価調査は、国土利用計画法による土地取引の規制を適正に実施するため、国土利用計画法施行令第9条にもとづき、都道府県知事が毎年9月下旬に公表する土地評価である。

評価の対象となるのは、全国の約3万地点の「基準地」である。都道府県地価調査では、毎年7月1日を基準日として各基準地につき1名以上の不動産鑑定士等の鑑定評価を求め、これを審査・調整し、毎年9月下旬に公報する。この公報された価格を「基準地価」という。

このように都道府県地価調査は、地価公示から半年後の地価を評価するものであるので、地価の変動を速報し、地価公示を補完する役割を担っている。

区分所有権

分譲マンションのように独立した各部分から構成されている建物を「区分所有建物」という。

この区分所有建物において、建物の独立した各部分のことを「専有部分」という。

区分所有権とは、この専有部分を所有する権利のことである(詳しくは「区分所有建物」参照)。

グッドデザイン賞

推奨に価するデザインに与えられる賞またはそのしくみをいう。毎年、応募されたデザインについて審査・授賞される。1957年に創設され、公益財団法人日本デザイン振興会が主催している。受賞したデザインには「Gマーク」をつけることができる。

グッドデザイン賞におけるデザインは、「人間を中心に考え、目的を見出し、その目的を達成する計画を行い実現化する一連のプロセス」(日本デザイン振興会ホームページ)であるとされ、幅広い領域を対象としている。例えば、サービス付き高齢者向け住宅、工業化住宅なども受賞している。

契約

対立する2個以上の意思表示の合致によって成立する法律行為のこと。

具体的には、売買契約、賃貸借契約、請負契約などのように、一方が申し込み、他方が承諾するという関係にある法律行為である。

源泉徴収票

正式名称は「給与所得の源泉徴収票」。
雇用者が、毎年1月初めに給与所得者に渡す書面である。

この源泉徴収票の「支払金額」の欄には、給与収入が記載される。
また、給与収入から給与所得控除を差し引いた残額(給与所得)は「給与所得控除後の金額」の欄に記載される。
給与収入から給与所得控除を差し引き、さらに各種の所得控を差し引いた残額は「所得控除後の金額」の欄に記載される。

なお「源泉徴収税額」は、給料や賞与からすでに差し引かれた源泉徴収の額の1年間の累計金額(年末調整を終了した後の累計金額)である。

 

公示価格

地価公示法にもとづいて土地鑑定委員会が公表する土地の価格をいう。

適正な地価の形成に資するため、全国の都市計画区域内等に設定された標準地(平成19年地価公示では3万地点)について、毎年1月1日時点のその正常価格を複数の不動産鑑定士が鑑定し、土地鑑定委員会で審査して決定した価格であり、同年3月下旬に公表されている。更地の単位面積当たりの価格として示される。

公共事業のための用地買収価格は、この価格を規準に決めなければならないとされているほか、民間の土地取引においてもこれを指標とするよう努めるべきとされている。

なお、各都道府県も、毎年7月1日時点でほぼ同様の調査を実施し、「都道府県基準地標準価格」として公表している。

さ行

敷金

建物の借主が、賃料その他賃貸借契約上の債務を担保するため、貸主に交付する金銭をいう。
敷金は、契約が終了した場合に、未払賃料等があればこれを控除したうえで借主に対して退去後に返還される。

修繕積立金

管理組合が管理費とは別に共用部分や付属施設などの修繕を目的とした長期計画に従って修繕を実施するために、区分所有者から毎月徴収した金銭を積み立てたものである。
管理費と同様、一般的に専有部分の専有部分の面積の割合で月額料金が定められている。

た行

仲介手数料

宅地建物取引業者を通して不動産を売ったり買ったり、あるいは貸したり借りたりする場合に、媒介契約にもとづき、宅地建物取引業者に成功報酬として支払うお金のこと。
媒介手数料(媒介報酬)ともいう。

定期借家契約

平成12年3月1日の改正法施行により、借家契約時に貸主が「期間の満了により契約が終了する」ことを借家人に対して、公正証書などの書面を交付して説明する場合には、賃貸期間が終了すると借家契約も終了し、借家人は退去しなければならないとする契約。
原則として契約の更新はできず、再契約には貸し主・借家人双方の合意が必要である。

な行

内見

不動産物件を実地に見学・調査すること。一般に、購入または賃借を検討するために実施する。

「内覧」とはほぼ同じ意味で使われている。

入居審査

住宅を賃貸するときに、賃借人としての適否を判断することをいう。貸し主またはその代理人が賃貸契約の締結に先立って行なう作業である。

入居審査に当たっては、賃借料の支払い能力、住宅利用の適切さなどを確認するのが一般的であるが、定まった基準はない。契約は双方の自由意志によるから、貸し主として自由に判断してよいが、不当な差別や人権侵害となることは避けなければならない。

また、宅地建物取引業者は、
ア)賃貸住宅の申込みに際して「本籍」欄や「国籍」欄のある申込書は使用しないこと
イ)入居審査のために得た情報について、目的外に使用しない、第三者に提供しない、安全に管理すること
などが求められる。

壁面において、柱同士を水平方向につなぐ材のこと。
伝統的な日本家屋の真壁では、貫を利用して壁の下地を設けていた。

根抵当

継続的な取引によって生じる不特定の債権を担保するための仕組みをいう。

契約によって極度額を定め、増減し変動する多数の債権について、極度額の範囲内で担保することができる。これらの債権は将来確定するものであるが、債権が消滅しても、根抵当権は極度額の範囲で存続することとなる。

根抵当が認められるためには、担保する債権の範囲および債務者をあらかじめ定めておかなければならず、根抵当権の対象となる債権は、

1.指定した特定の継続的取引契約または取引の種類から生じる債権

2.特定の原因によって継続する債権

3.手形・小切手債権

に限られる。例えば、金融機関との信用取引や商社等との継続的な購入契約により生じる債権がこれに該当する。しかし、一切の債権を一括して担保するような抵当権(包括根抵当権)は認められていない。

なお、根抵当の対象となっている債権が譲渡されたときには、根抵当権はこれをカバーしない(随伴しない)が、あらかじめ定めた期日の到来や取引の終了等によって元本(担保の対象となる債権)が特定されると(元本の確定)、通常の抵当権と同様、債権の移転とともに抵当権も移転することになる。

年末調整

所得税は、毎月の給料や賞与からあらかじめ概算の税額を差し引いておく仕組みになっており、この概算の税額を「源泉徴収税額」という。

この源泉徴収税額はあくまで概算なので、1年の終了時点では、所得税の払い過ぎ(または不足)が発生するのが普通である。
この払い過ぎの部分を、翌年1月の給料において、勤労者に戻すこと(または不足の部分を追加徴収すること)を「年末調整」と呼んでいる。

延べ面積

建築物の各階の「床面積」の合計のこと。

なお、容積率を算出する際には、次の部分の床面積は延べ面積から「除外」できる扱いとなっているので、注意する必要がある。

1.自動車車庫・自転車置場に供する部分の床面積(床面積の合計の5分の1まで)
2.建築物の地階(その天井が地盤面からの高さ1m以下にあるものに限る)の住宅の用途に供する部分の床面積(住宅の用途に供する床面積の合計の3分の1まで)
3.共同住宅については、共同住宅の共用廊下・共用階段・エントランスの部分の床面積(限度なし)

延床面積

建築物の各階の「床面積」の合計のこと。

なお、容積率を算出する際には、次の部分の床面積は延べ面積から「除外」できる扱いとなっているので、注意する必要がある。

1.自動車車庫・自転車置場に供する部分の床面積(床面積の合計の5分の1まで)
2.建築物の地階(その天井が地盤面からの高さ1m以下にあるものに限る)の住宅の用途に供する部分の床面積(住宅の用途に供する床面積の合計の3分の1まで)
3.共同住宅については、共同住宅の共用廊下・共用階段・エントランスの部分の床面積(限度なし)

は行

媒介

私法上の概念で、他人間の契約等法律行為の成立に向けて行う事実行為をいう。代理や取次と違って、法律行為ではないとされる。

不動産取引における宅地建物取引業者の立場(取引態様)の一つでもあり、不動産の売買・交換・賃貸借について、売主と買主(または貸主と借主)との間に立って取引成立に向けてなす活動がこれに該当する。

なお、「仲介」は「媒介」と同じ意味である。

バリアフリー

高齢者や身体障害者など、体の不自由な人々の行動を妨げる物的・心理的障害を取り除くという意味。

バリアフリーデザインはその障害となる物を除去し、生活しやすいよう設計されたものである。段差をできる限りつくらずにスロープ等を用いることも一つの手法である。

ま行

間口

土地と道路が接する長さのこと。

間取り

部屋の配置。居間、寝室、台所、浴室などの位置関係や、それぞれの部屋のかたち・広さによって示される。

間取りを図面化したものを「間取図」といい、通常は方位、縮尺が示されている。

なお、「◯LDK」のような表示は、部屋の位置関係が不明であって、間取りを示すものではない。

無過失責任

私法上の概念で、損害の発生について故意・過失がなくても損害賠償の責任を負うことをいう。

民法の一般原則では、損害賠償責任を負わなければならないのは故意・過失がある場合に限るとされているが(過失責任主義、この場合その立証責任は被害者が負う)、一定の場合には無過失による損害発生について賠償責任を負わなければならないとされている。例えば、工作物の設置・保存の瑕疵についての所有者責任、鉱害や原子力災害に対する事業者責任、大気汚染・水質汚濁についての事業者責任、製造物責任などは無過失責任である。

無過失責任を求める背景には、社会に対して危険をつくり出している者は、危険を防止する能力を有していることなどから、それによって生じる損害に対して重い責任を負わなければならないという考え方(危険責任)、利益を上げる過程で損害を与えた者は、利益あるところに損失も帰すべきだから、利益から賠償しなければならないという考え方(報償責任)の2つがある。

なお、無過失責任に近い責任として「中間的責任」があるが、これは、損害発生について無過失であることの立証責任を加害者に求めるもので(立証責任の転換)、例えば、工作物占有者の責任、使用者責任、責任無能力者の監督者責任などがこれに該当する。

免許の基準

宅地建物取引業を営もうとする者(個人または法人)が、宅地建物取引業の免許を申請した場合には、国土交通大臣または都道府県知事は、一定の事由に該当する場合には、免許を与えることができないとされている(宅地建物取引業法第5条第1項)。具体的には次のとおりである。
(なお、下記5.6.11.の「役員」の定義は役員(免許の基準における~)を参照のこと)

1.免許申請書等で、重要な事項の虚偽記載等がある場合
宅地建物取引業を営もうとする者が提出した免許申請書免許申請書の添付書類において、重要な事項について虚偽の記載があり、または重要な事実の記載が欠けている場合には、免許を与えることができない(法第5条第1項本文)。

2.専任の宅地建物取引士の設置義務を満たさない者
宅地建物取引業を営もうとする者が、その事務所に関して宅地建物取引士の設置義務を満たさない場合には、免許を与えることができない(法第5条第1項第9号)。

3.成年被後見人被保佐人、復権を得ない破産者
宅地建物取引業を営もうとする個人が、成年被後見人、被保佐人、破産者で復権を得ないものであるときは、免許を与えることができない(法第5条第1項第1号)。

4.一定の事情で免許の取消しをされてから5年を経過しない者
宅地建物取引業を営もうとする個人が、次の1)・2)・3)の事情により免許を取消されてから5年を経過しない者であるときは、免許を与えることができない(法第5条第2号)。

1)不正の手段により免許を受けたために、免許を取消された者(法第66条第1項第8号)
2)業務停止処分に該当する行為(法第65条第2項の行為)を行ない、特に情状が重いために、免許を取消された者(法第66条第1項第9号)
3)業務停止処分を受けて、業務停止処分に違反したために、免許を取消された者(法第66条第1項第9号)

5.免許の取消しをされた法人の役員であった者で、法人の免許の取消しから5年を経過しない者
宅地建物取引業を営んでいた法人が、上記4.の1)・2)・3)の事情により免許の取消しを受けた場合において、聴聞の公示の日(免許取消し処分に係る聴聞の日時・場所が公示された日)の60日前以内にその法人の役員(注)であった者は、法人の免許の取消しから5年を経過しない場合には、個人として免許を受けることができない(法第5条第1項第2号)(詳しくは免許の基準(役員の連座)へ)。

6.一定の時期に廃業・解散等した個人(または法人の役員)で、廃業の届出等から5年を経過しない者
これは、免許取消し処分が下されることを回避するために、廃業・解散等してしまった場合を指している(法第5条第1項第2号の2、第2号の3)(詳しくは免許の基準(廃業等)へ)。

7.刑事罰の執行を終えてから5年を経過しない者等
免許を取得しようとする個人が、過去に一定の刑事罰を受けた経歴がある場合には、原則として刑の執行を終えてから5年間は、免許を受けることができない(詳しくは免許の基準(刑事罰)へ)。

8.免許の申請前5年以内に、宅地建物取引業に関し不正または著しく不当な行為をした者 (法第5条第1項第4号)

9.宅地建物取引業に関し、不正または不誠実な行為をする恐れが明らかな者 (法第5条第1項第5号)

10.営業に関し、成年者と同一の能力を有しない未成年者で、その法定代理人が上記3.から9.のいずれかに該当するもの (法第5条第1項第6号)
未成年者は、婚姻をした場合(離婚後を含む)または営業の許可を受けた場合には、成年者と同一の能力を有することとなり、法定代理人の同意なくして有効に法律行為を行なうことが可能になる。しかし、未婚かつ営業許可のない未成年者は法定代理人の同意を必要とする(詳しくは未成年者へ)。そこで、こうした未成年者については法定代理人が上記3.から9.の欠格事由に該当しないことが要求されている。

11.法人が免許を取得しようとする場合に、その役員(注)のうちに、上記3.から9.までのいずれかに該当する者があるもの (法第5条第1項第7号)

12.法人が免許を取得しようとする場合に、その事務所の代表者のうちに、上記3.から9.までのいずれかに該当する者があるもの (法第5条第1項第7号)

13.個人が免許を取得しようとする場合に、その事務所の代表者のうちに上記3.から9.までのいずれかに該当する者のあるもの (法第5条第1項第8号)

(注)上記5.6.11.における役員は、実質的な支配力を有する者を含む広い概念である。詳しくは役員(免許の基準における~)を参照のこと。

免震構造

大地震による揺れをできるだけ小さくして、心理的恐怖感や家具の転倒などによる災害を少なくするために、建物基礎と土台の間に防振ゴム(積層ゴム)を挿入するなどの構造を免震構造という。

これまではマンションでの採用が多かったが、最近は一戸建て住宅に採用するケースも多い。振動を通常の2~3割程度に和らげる効果があるとされており、今後さらなる増加が予想される。

モデルハウス・モデルルーム

住宅販売などに当たって展示・PRのために建設された住宅または部屋をいう。

住宅建築の受注や分譲住宅の販売のために建てる戸建て住宅が「モデルハウス」、マンション販売の場合などにおいて展示する部屋が「モデルルーム」である。建築工法、住宅性能、室内環境等を具体的に示すことができるが、現実に販売される住宅等とまったく同一ではない。

や行

屋根不燃区域

防火地域準防火地域にあるすべての建築物は、耐火建築物または準耐火建築物としない場合には、その屋根を不燃材料で造り、または不燃材料でふくことが必要である(建築基準法63条)。

しかしその反面、防火地域または準防火地域以外のエリアでは、この屋根不燃化の規定(建築基準法63条)は適用されない。

そこで建築基準法では、こうしたエリアであっても、特定行政庁の判断により、屋根の不燃化を強制できるという制度を設けている。これが「屋根不燃区域」である。

具体的には、特定行政庁が、防火地域または準防火地域以外のある区域を「屋根不燃区域」に指定すると、その区域内では屋根を不燃材料で造り、または不燃材料でふかなければならないことになる(建築基準法22条)。

またこの「屋根不燃区域」に指定されると、外壁や軒裏について特別な防火規制をクリアしなければならないことになる(建築基準法23条・24条・24条の2)。

この「屋根不燃区域」を指定するには、都道府県都市計画審議会または市町村都市計画審議会の意見を聞く必要がある。

実際にこの「屋根不燃区域」は、木造家屋が密集する地域などで広汎に指定され、都市の防火に大きな役割を果たしている。

有形文化財

有形の文化的所産であって、わが国にとって歴史上または芸術上の価値が高いもの(これらのものと一体化している土地等を含む)を「有形文化財」という(文化財保護法第2条)。

有形文化財は、建造物と美術工芸品(絵画・工芸品・彫刻・書跡・典籍・古文書・考古資料・歴史資料)の2種類に区分される。
有形文化財のうち重要なものは重要文化財に指定され、さらに世界文化の見地から特に価値の高いものは国宝に指定されている。

ユーティリティ

住まいにおける家事作業の中心となる室のこと。

家事作業をするために必要な設備が集中的に設けられ、作業台なども整備される事も多い。台所の近くに設置されることが多い。

容積率

延べ面積敷地面積で割った値のこと。
例えば、敷地面積が100平方メートル、その敷地上にある住宅の延べ面積が90平方メートルならば、この住宅の容積率は90%ということになる。

建物の容積率の限度は、原則的には用途地域ごとに、都市計画によってあらかじめ指定されている。
さらに、前面道路の幅が狭い等の場合には、指定された容積率を使い切ることができないケースもあるので、注意が必要である。

用途地域

建築できる建物の用途等を定めた地域。都市計画法に基づく制度である。

用途地域は、地域における住居の環境の保護または業務の利便の増進を図るために、市街地の類型に応じて建築を規制するべく指定する地域で、次の13の種類があり、種類ごとに建築できる建物の用途、容積率建ぺい率などの建築規制が定められている。
・住居系用途地域:「第一種低層住居専用地域」「第二種低層住居専用地域」「第一種中高層住居専用地域」「第二種中高層住居専用地域」「第一種住居地域」「第二種住居地域」「準住居地域」「田園住居地域
・商業系用途地域:「近隣商業地域」「商業地域
・工業系用途地域:「準工業地域」「工業地域」「工業専用地域

用途地域の指定状況は、市区町村が作成する都市計画図に地域の種類ごとに異なった色を用いて表示され、容易に確認できるようになっている。

なお、用途地域は、局地的・相隣的な土地利用の調整の観点にとどまらず、都市全体にわたる都市機能の配置及び密度構成の観点から検討し、積極的に望ましい市街地の形成を誘導するため、都市計画区域マスタープランまたは市町村マスタープランに示される地域ごとの市街地の将来像にあった内容とすべきであるとされている(都市計画運用指針、国土交通省)。

ら行

礼金

建物の賃貸借契約を締結する際に、借主から貸主に対して、謝礼として支払われる金銭をいう。
契約が終了しても通常、借主に返還されない。

わ行

ワイドスパン

スパンとは間隔、間(ま)のこと。柱や壁の間隔を広く取ることができれば、光や風を室内に取り込みやすくすることができる。従来は1間からせいぜい2間程度の開口部だったが、3間以上ある全面開口も可能になり、南面する部屋に採用するケースが多く見られるようになった。これにより部屋の開放感も増すことになる。

一般的に70平方メートル程度の住戸で窓のある開口部の幅が7~8m以上あればワイドスパンとされているが、結露、断熱性能等にも配慮して検討することが必要。

分かれ

不動産業界で使われる用語の意味としては、不動産取引(主として売買)の媒介報酬を配分すること、あるいはその際のルールをいう。

一つの取引に対する媒介報酬は、売り手と買い手が支払う報酬の総額であるが、複数の宅地建物取引業者が取引に関与した場合には、その配分を決めなければならない。配分についての決まったルールはないが、取引に当たっての貢献度に応じて配分されるのが通例である。

例えば、売り手・買い手が異なる業者に取引の媒介を依頼して成約すれば、一般的には、それぞれの依頼者が支払う報酬をそれぞれの業者がそのまま受け取るという「分かれ」となる。

ワークライフバランス

ライフスタイルやライフサイクルに応じて、仕事の責任を果たしつつ、多様な生き方が可能となる状態をいう。

仕事と私生活のバランスを確保できるように労働時間を編成する仕組みが必要で、そのような仕組みの構築をめざす政策がワークライフバランス政策である。「仕事と生活の調和」と訳されることがある。

ワークライフバランスを実現することは、

1.男女均等の確保(育児休業、父親の出産休暇などがこれに該当)
2.パートタイム労働の待遇改善(働く形態によって差別されない)
3.ライフサイクルに応じた労働時間の適切な編成
4.女性や高齢者の就業率の向上
5.福祉受給者の労働市場への参加(メイク・ワーク・ペイ)
6.出生率の向上
7.就業モチベーションの向上や就業能力開発の機会拡大

など、多面的な課題への対応に資すると考えられている。

なお、政府は、仕事と生活の調和推進官民トップ会議(関係閣僚、経済界・労働界・地方公共団体の代表等で構成)において、「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章」および「仕事と生活の調和推進のための行動指針」を合意している(2007(平成19)年12月、その後、2010(平成22)年6月に再合意)。

「仕事と生活の調和推進のための行動指針」は、ワークライフバランスが実現するための条件として、

1.就労による経済的自立が可能な社会
2.健康で豊かな生活のための時間が確保できる社会
3.多様な働き方・行き方が選択できる社会

の3つを挙げたうえで、具体的な取組み内容を列挙し、その進捗状況を把握・評価するために、数値目標および「仕事と生活の調和」実現度指標を定めている。